日本で最初の鮭の博物館 イヨボヤ会館

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「新巻鮭」と「塩引き鮭」って何が違うの?

生まれも育ちも村上の私でも、イヨボヤ会館の職員になるまでこの疑問にはっきりとした答えを持たずになんとな~く「違うんだろうな…」と漠然と思いながら生きてきました。

村上の人間ですらそうなのだから、ひょっとしたら塩引き鮭に馴染みのない方で混同されている方も多いんじゃないか?と思ったので、今日は改めてそれぞれをご紹介しその違いを比べてみたいと思います!

 

 

 

◇新巻鮭

北海道や東北で多く生産される「新巻鮭」とは、生鮭の内臓を取り除き水洗いし、塩漬けにして冷凍保存した鮭です。

戦前までは「荒巻鮭」の字が使われていました。

鮭に塗した塩がこぼれないように「荒いムシロ」で巻いたことが語源であるというのが、近年の定説です。

 

鮭の鮮度を保ち、獲れたての鮭の美味しさをそのまま長期保存できるため、日本全国で広く食べられています。

近年では健康志向から甘塩の味付けが多く作られるようになりました。

(昨今ではものによっては数日間干す製法もありますが、村上の塩引き鮭ほど長く干さないそうです)

東北に近い村上市ですが、新巻鮭は伝統としては作られることがありませんでした。

 

 

◇塩引き鮭

「塩引き鮭」は、内臓を取り除いて水洗いした鮭に塩をすり込み、1週間ほどおいた後流水に浸して余分な塩を抜き、軒先などで数週間干し上げ完成します。

 

この干し上げの過程で必要不可欠なのが、村上特有の気候です。

鮭が凍る程寒くはなく腐る程暖かくもない絶妙な気温と、背後に山を抱え目前に海や川を望む地形から生み出される湿気を含んだ季節風が、鮭の低温発酵を促します。

発酵により鮭の持つアミノ酸が旨味成分へと変化し、結果として生鮭にはない熟成・凝縮された風味を生み出すのです。

 

 

こうして比較してみると、製法・過程はよく似ているのですが、出来上がってくるものが全く異なったものであることが分かりますね!

「新巻鮭」は新鮮さの保存が美味しさの秘訣であるのに対して、村上の「塩引き鮭」は発酵食品ということになります。

2つ並べて食べ比べてみるとかなり味が違うんですが、どちらの味も私は大好きです!

 

 

 

その他に見た目の上でも、塩引き鮭は城下町村上ならではのこだわりが詰まった独特な姿かたちをしています。

 

*止め腹

腹を開く際、腹ビレ先で一旦止め、一部をあえて残します。

「切腹」を忌み嫌う城下町特有のこだわりから生まれた切り方です。

 

*干し上げ

大切な鮭に「首吊り」をさせるのは忍びないという思いから、干し上げる際には頭を下にし尾ビレの付け根に縄を縛ります。

 

 

村上で軒先に干された塩引き鮭を目にした時には、是非今もなお残る武家の考え方の名残を感じてみてください(^O^)/